松山藩主の墓、撤去恐れ 調停申し立て
東京都内に残る愛媛県の歴代松山藩主の大名墓が取り壊される可能性が出ていることが7日分かった。菩提寺の済海寺(港区三田4丁目)が、老朽化により墓石が倒れる恐れがあるとして、墓参者の安全確保のため、境内にある藩主らの墳墓49基(計約222平方メートル)を撤去し合祀(ごうし)墓を設置する方針を示し、旧藩主久松家の承諾を求めて東京地裁に調停を申し立てた。久松家側は4日の第1回調停で、倒壊の恐れがある墓の補修工事を実施すると主張し、棄却を求めている。
寺には2代から15代までの藩主や妻子らが埋葬されている。墓の老朽化で、寺は久松家に対し2014年12月、対応策の本格協議を開始した。今夏から寺側は「倒壊の危険性が高い」墓をロープで囲い、立ち入りを制限している。
調停申立書によると、1984年ごろ、寺と久松家で墓地の管理に関し紛争となり、久松家が毎年3、9両月に維持管理費20万円を寺に支払う▽支払いが連続して遅れた場合は寺の任意の方法で1基に合祀する▽倒壊の恐れなどが生じれば久松家が適切な処置を取る―などを合意した。
寺側は、合意後に墓石の修復などが行われず、11~14年分の維持管理費が期限に支払われなかったと主張。寺の費用負担で3~4坪程度の合祀墓を建立して久松家の墓石は全て撤去し、当主以外の遺骨は原則として一つの骨つぼにまとめる方針を示した。
久松家側は答弁書で、維持管理費の未払いは「墓地の合改葬作業に関する協議中は支払いを留保するとした寺の意向に従った結果」と反論。一方的な遺骨の混合納骨は不条理極まりないと指摘している。